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ミツバチのささやき DVD ビットレート比較 [映画]

みつばちのささやき / El Espiritu de la Colmena
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気付いたら各国版 DVDがこんなに。

違うのはジャケットと字幕だけでしょ?と思うなかれ。画質にはかなりの差があります。言葉で画質をレビューするのは難しいので、簡単に測定できる数値、 ビットレートを比較してみましょう。
ビットレートは一秒あたりのデータ量。ざっくり言うと、この数字が大きいほど絵はキレイになりますが、その一方データサイズが大きくなります。そしてディスクの容量には上限があるので、無闇に大きくはできません。
以下、グラフは縦軸がビットレート(Mbps), 横軸が再生時間(分)です。DVD Bitrate Viewer v1.4 で測定しました。


1. これはひどい

まずは画質が酷い東北新社版。(2000年)
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「これはひどい」としかいいようのないグラフです。
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まず、平均 5.49 Mbps というビットレート値の絶対的な低さ。DVDを二層にもせず、ボーナスコンテンツも詰め込んであるので、ここまでレートを下げないと入らなかったのでしょう。

そして、ビットレート制御の出鱈目さ。最初はなんとなく高めで始めて、途中でディスク容量が足りなくなってきたのでガクンと下げているのがミエミエです。目に余るやっつけ仕事です。

さらに画像がほんとうに汚い。アナログBSから録画した VHS の方がまだ綺麗でした。このDVDを買った時は、あまりの画質の悪さに本気で叩き割ろうかと思ったものですが、今回このデータを見て改めて腹が立ってきました。

ひとつだけ東北新社に弁解の余地を残すとすれば、発売当時は DVD 黎明期だったので、エンコード機器がまだ発展途上だったこと。しかし、同時期の他の DVD を見ても、ここまで画質が酷いものはあまりないのでやっぱりダメ。最低です。市場から退場して下さい。ちなみにすでに廃盤。


2. 手抜き

つぎにフランス Carlotta 版。(2008年)
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愛の感じられない、低位置のノコギリ状の自動制御曲線。
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東北新社版と同等に低い平均ビットレート (4.98 Mbps)。しかし映像の崩れは東北新社よりはだいぶマシです。これは8年間のMPEG最適エンコード技術の発展のおかげでしょう。この10年間で、同じビットレートでもDVDの画質は随分綺麗になりました。

レートは全体にほぼ一定。一定がいいかというと、実はそうではなくて、機械的に一定になっているのは、レート制御の手抜きの証明です。デジタル画像はその時々の画像の状態(絵柄と動き)によって MPEG 圧縮データ量が刻々と変わるので、最適な動的制御をすると、グラフは結構激しく動くものなのです。ビットレートを強制的に一定にしてしまうと、画質がふらふらと上下してしまいます。
そしてサーモスタットのようなシンプルなアルゴリズムが読み取れるノコギリ状のレート変動曲線。画質を良くしようという意思はこれっぽっちも感じられません。低コスト第一。


3. 技術の愛のかたち

US クライテリオン版 (2006年)
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紀伊国屋書店版 (2008年)
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素晴らしいです。
どちらも、DVDのビットレート上限(約9Mbps)をきっちり使いきり、なおかつ細かい制御の跡も見て取れます。

そしてどちらも、映画本編は2層ディスクで、ボーナスコンテンツは別ディスクに追い出し、全ビットレートを余すところなく映画に捧げている。これが技術から映画への愛のカタチってもんです。大げさですが。

両者の画像の印象は大分違います。クライテリオン版は明るく、紀伊国屋版はやや暗いです。紀伊国屋版はエリセ立会いによるデジタルリマスターなので、こっちが監督の意図する暗さなのかもしれません。


4. まとめ

紀伊国屋とクライテリオンは正しい仕事をしています。買う価値はあります。他の2枚は、こんなものにお金を払うべきではありません。
もっとも、紀伊国屋版は現在ボックス売りのみで1万円越え、クライテリオン版は英語字幕OKでリージョン1を再生できる方のみ、とややハードルは高いのですが。