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もう終わった破壊的テクノロジーのおはなし(2) [Tech]

つづき
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CDになって日本のレコード産業の技術優位性がなくなってしまったと書いたが、そう言い切ってしまうのも実はフェアではない。

その後、電機メーカーのエンジニアになって、CD/DVD再生デバイスの開発をするようになり、日本盤の品質に再び敬意を抱くことになる。

CDはデジタルとはいうけれど、盤面から信号を読みだす部分はとてもアナログで、ディスクの製造技術の影響をまともに受ける。ディスクの傷とか偏芯とか反りとか金型のへたりとかスパッタリングのむらとか、いろんな理由で、読み取りエラーは日常的に起こる。しかし「エラー訂正技術」のおかげで、失われた部分を復活したり,補完推測して、ある程度のエラーは「なかったこと」にしてしまえる。それがCDの売りのひとつ。

ざっくり言ってしまうと、新品の日本盤CDから読み取りエラーが出ることは極めて少なかった。とても品質がよかったのだ。だからオーディオマニアの方が、CDはエラー訂正で音が壊れる、と主張されているのを聞くと、なんだか「ぽかーん」としたものだ。日本盤CD買って、傷がつかないように大事に扱ってればエラー訂正なんか滅多に発動しないのに、と。

一方、US盤やUK盤は、それなりにエラー訂正が発動していたように思う。でもそれはCDの規格のうち。想定されたエラーなのだ。一般ユーザーからすると、何事も無かったように再生できるし、結果の差はほぼ無い、と言っていいと思う。自分の聞く音楽で、自分の再生装置で、その差はないと判断して、自分はタワレコやシスコで輸入盤を買い続けた。

そう、日本盤CDは確かに品質はよかった。エンジニアとしての私にはよく分かった。でもエンドユーザーとしての私には違いとして見えず、私の財布からお金は落ちなかった。なんかもったいないよね。もう終わった話だけど。

(もうちょっとつづく)


Photo : Johnny Magnusson
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